背継ぎとは?ハードカバー製本の表紙を仕立てる伝統技法
2026.08.05
- 社長のひとりごと
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製本の仕事をしていると、「この部分、なんですか?」とよく聞かれる箇所があります。
背と表紙で、素材や色が切り替わっている部分——これを「背継ぎ」と呼びます。
上製本(ハードカバー)の表紙は、背・表・裏をそれぞれ別の素材で仕立てることができます。背継ぎとは、その名の通り、背に用いる素材と表紙(平)に用いる素材を「継ぎ合わせる」表紙の仕立て方です。辞典や記念誌など、格式のある本に長く使われてきた技法で、欧州では中世の頃から、背にだけ革を用いる製本スタイルが発展してきた歴史があります。
もともとは機能から生まれた構造です。本はページをめくるたびに背に負荷がかかり、傷みやすい。だからこそ、もっとも力のかかる場所に、丈夫な素材を置く。そういう理由がありました。
ところが、職人の手を経るうちに、それは少しずつ「美しさ」にもなっていきました。二種類の素材が出会う細いライン。色の切り替わりの緊張感。ここに、本づくりの面白さが凝縮されているような気がします。
写真は、水色の布クロスにキャメル色の素材を組み合わせた背継ぎです。素材と色の組み合わせは装丁デザインの見せ場のひとつで、仕上がりを想像しながら一緒に考えるのも、この仕事ならではの醍醐味だと感じています。
当社では昭和9年の創業以来、こうした上製本の仕事を続けてきました。技法そのものは変わりませんが、使う素材や色の組み合わせは、時代とともに少しずつ変わってきたように思います。
背継ぎという言葉を、今日から少しだけ覚えていただけたら嬉しいです。
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